現代のビジネス世界では、データが全てを左右すると言っても過言ではありません。

例えば、皆さんが普段目にしているSNSの広告や、コンビニの商品ラインアップ。その裏には、すべて“データ分析”があります。

企業の成功を左右する要因として、生活者のニーズや市場動向をしっかりと把握し、それに基づいた意思決定を行うことがますます重要になっています。
今や企業が競争力を維持し、成長を続けるためには、勘や経験に頼った経営ではなく、事実に基づいた判断を可能にする「データ活用」が欠かせません。

その中でも「マーケティングリサーチ」は、顧客や市場の動きに関するデータを収集し、ビジネス戦略を形成するための鍵となる活動で、“顧客の声を戦略に変える大切なプロセス”なのです。

しかし、現役のマーケターでもない限り、マーケティングリサーチが実際にどんなものか、そしてそれがどのように企業に利益をもたらすのかをしっかり理解している方は少ないかもしれません。
今回はマーケティング関連のキャリアをこれから目指す方に向けて、その基本から、なぜマーケティングリサーチが重要なのかを事例を交えて解説していきます。

1.マーケティングリサーチとは?

マーケティングリサーチとは、簡単に言うと「市場や生活者のニーズを調べること」です。
企業は、商品・サービスの開発やリリース前に、消費者ニーズや競合他社の情報、それに対する自社の立ち位置などを把握するために調査を行っています。

例えば、飲料メーカーが新商品を開発するときには、買ってほしいターゲット、味、パッケージ、価格帯など、様々なことを考える必要があります。
それぞれをどのように設計するかを検討するうえで、リサーチを通じて「こんな味の飲み物を飲みたい」、「価格はこれくらいが良い」といった生活者のリアルな声を集めることで、ターゲット層のニーズに即したコンセプトやパッケージ、価格などを策定することが可能になります。

逆に、もしリサーチを行わずに開発をすれば、ターゲットの好みに合わない味や割高に感じられる価格設定になり、売れ行きが伸びない可能性があります。

つまり、マーケティングリサーチは企業が生活者と向き合い、商品やサービスを“選ばれる存在”にするための架け橋なのです。

2.データを使った意思決定の力

マーケティングリサーチが持つ意義は、企業が感覚や勘に頼るのではなく、「データ」を基にして意思決定を行えることです。
データに基づいた意思決定を行うことで、企業はより精度の高い戦略を立て、効率的にリソースを投入することができます。

例えば、消費者の購買傾向をリサーチし、そのデータを基に広告戦略を立てることができます。
「どの広告が最も反響が大きいか」「どの時間帯に広告を出すべきか」など、詳細なデータを活用することで、より効果的にターゲットにアプローチできます。
実際、マーケティングリサーチを通じて消費者の購買データを分析し、商品の配置や価格設定を最適化した結果、売上が大幅に向上した事例は数多くあります。
このように、データを活用した意思決定は、企業にとって重要なのです。

3.マーケティングリサーチで得られる成果とは?

マーケティングリサーチを効果的に活用することで、企業は多くの成果を上げることができます。
たとえば、商品開発の際に消費者のニーズを的確に把握することで、より魅力的な商品を提供できるようになります。
時には、多くの人が「これはこういうものだから仕方ない…」と潜在的に諦めていたことからアイデアが生まれ、ヒット商品となったケースもあります。

さらに、マーケティングリサーチによって得られたデータは、長期的なビジネス戦略にも大きく影響します。
生活者の動向や市場の変化を早期にキャッチし、それに適応することで競争優位性を高めることができます。

マーケティングリサーチは企業の経済活動において重要ですが、それを企業独自で行うのには限界があります。

▼なぜ限界があるか?
・自社内にリサーチ専門部署が無く、人的・時間的にリソースが割けない。
・リサーチに特化した専門知識やノウハウがなく、質問設計や結果分析がうまくできない。
・そもそも自社顧客以外にアクセスする手段がなく、客観的なデータを集めることができない。

自社内で有効なマーケティングリサーチを行うことが難しいときに役立つのが、外部の「マーケティングリサーチ会社」です。
企業のパートナー的立ち位置で、リサーチのプロフェッショナルが代行しています。
次の章では、実際にマーケティングリサーチ会社が介在したことで成功した事例をご紹介します。

4.マーケティングリサーチからヒントを得た成功事例

①「潜在的諦め」から着想!これまでの「当たり前」を変えた事例

皆さんは、缶コーヒーの容器の形が変わったことをご存知でしょうか?
一昔前まで、缶コーヒーの容器は円柱型のプルトップタイプのものが定番でした。
当時「缶コーヒーが女性に売れない…」というお悩みを抱えていた企業様がおり、その課題を策定するために、マーケティングリサーチを実施しました。

その調査の中で、女性が缶コーヒーをなぜ買わないのかについて深くディスカッションし、以下のような理由が上がりました。

・プルトップが開けづらい。ネイルをしていると、爪が折れそうで怖い。
・一度で飲み切れないのに、持ち運びができない。
・最後まで飲み切ろうとすると、かなり上を向かないと中身が出てこない。

皆さんもプルトップ缶の飲料に対して、一度は思ったことがあるのではないでしょうか?
当時の缶飲料はプルトップ缶が主流だったこともあり、多くの人が自分でも気が付かないうちに不満を持っていました。
それでも、「缶はこういうものだから仕方ない」と知らず知らずのうちに諦めていたのです。(潜在的諦め)
調査によって得られた意見を元に、新たな缶コーヒーの容器が生まれました。
それが、蓋つきの容器です。

開けづらい、爪が折れそうなのであれば、プルトップをやめよう。
蓋つきにすれば、途中で閉められるし持ち歩きもできる。
入口を斜めにすれば、液体が出てきやすい。

現在皆さんが街中でよく見る蓋つき缶コーヒーボトルは、実はこういった調査結果から導き出した解決策なのです。


②無意識の行動にこそ本音が出る!消費者が本当に求めているものを知った事例

皆さんは柔軟剤のCMや広告を見たことがあるでしょうか?
有名な俳優がお花に包まれるような演出で、同じブランドから色々な種類の香りを売り出しています。

実は一昔前まで、柔軟剤のCMは全く違う演出をしていたのです。
洗いあがりの白さ、柔らかさを打ち出すもので、香りの種類も現在ほど多くはありませんでした。
当時売り上げに伸び悩んでいた企業様からご相談をいただき、ある調査を行ったことがきっかけで変わったのです。

実際に洗濯をする場面を一部始終見せていただき、モニターの皆様が、ある瞬間に同じ行動を取っていることに気が付きました。
洗濯物を取り込んだ際に、必ず顔に衣類を近づけ、匂いを嗅いでいたのです。
皆様にそのことを確認してみたところ、匂いを確認している認識がある人はほとんどおらず、「言われてみればたしかにしているかも」といった状態でした。

その調査結果から着想を得て、現在のような香りを打ち出す演出、香りの種類を豊富にするメーカー様が増えました。
使っている本人も無意識にとっている行動にこそ本音が出る、消費者が柔軟剤に求めていたのは香りだったのだ、と認識した事例でした。

コラム画像

5.ただの調査で終わらせない、ネオマーケティングのビジョン

前章でご紹介した成功事例は、私たち「株式会社ネオマーケティング」でご支援させていただいたものです。

私たちネオマーケティングは、2000年の創業以来「生活者起点のマーケティング支援」という事業コンセプトを掲げ、お客様が抱えるあらゆるマーケティング課題の解決に向けて取り組んでいます。
メーカー企業や広告代理店を中心とする取引先は累計3,000社以上、累計プロジェクト数は40,000件以上を誇り、2021年には東証スタンダード市場へ上場を果たしました。

当社ではネットリサーチ、インタビュー、会場調査など幅広いリサーチ手法を取り扱っています。
その種類と蓄積してきた膨大な調査データは業界でも屈指の数と質を誇っています。

マーケティングリサーチに絶対の自信を持ちつつ、その先の施策実行にも重きを置いています。
ただ調査して終わり、データを納品して終わり、にしてしまっては、本当の意味でお客様のご支援をしたことにはなりません。
その結果を踏まえ、どうコミュニケーション施策を変えるか、どんな商品にするかまで一緒に考え実行するのが、私たちのスタンスです。


■ビジョン:「私たちは人の心を満たす商品・サービスがあふれる社会を目指している」

私たちはこんなビジョンを掲げて、お客様をご支援させていただいています。

マーケティング業界にはヒット商品を連発するのが是とされている風潮がありますが、(もちろんそれも非常に大切ではありますが)
当社はこのビジョンと紐づいて、老若男女あらゆる社会階層の方々“その人”にとって必要な商品・サービスが在る社会を目指しています。
そのために、「生活者の声」を起点としたマーケティングが大切であると考えています。

企業のマーケティング担当者様の多くは、リサーチであれば調査会社に、ネット広告であればデジタル広告会社に、PRであればPR会社に…といった施策ごとにパートナーを依頼する必要があります。
これによって、リサーチの結果をうまく活用できない、各パートナーに対して、自分たちが窓口となってリサーチ結果を伝言することが難しいといった問題が生まれています。

私たちは、商品開発段階のマーケティングリサーチからコミュニケーション領域のデジタルマーケティングやPRを一気通貫で実行することにより、リサーチ結果を最大限活用し多くの商品・サービスに反映させることで、当社のビジョンを達成することができると考えています。

まとめ

マーケティングリサーチは、企業にとって単なる「情報収集」ではなく、ビジネス戦略を支えるために欠かせない要素です。
正しいデータに基づいた意思決定を行うことで、企業は競争力を高め、成長を遂げることができます。

ネオマーケティングは、そんなマーケティングリサーチを起点にお客様を総合的に支援する強力なパートナーでありたいと考えています。
これからもリサーチ、データ分析、その後の施策実行のご支援を通じて、お客様の目標達成を助け、より効果的な成長戦略を実現していきます。
もし、少しでもマーケティングリサーチの面白さ、生活者起点のマーケティング活動の重要性に興味をお持ちいただけたら、ぜひネオマーケティングの募集職種をご覧ください!